a witch's sweet 2.5


caution
今回の話はトンデモ展開です(苦笑)。
どんだけトンデモかっつーと、ぶっちゃけ他ジャンル話なので(死、その背景をご存じないとポカーンな感じになるかも?
そうならないように善処しますが・・・。如何せん当方の力量は以下略。
それでも大丈夫な方だけ、ご観覧下さい。

→コミハシ拝んで帰る。






























OK? ------------------------------------


「ふみこたんが何をしたいのか、よくわかんねーよ」
玖珂光太郎(自称:悪をぶっ飛ばす青年探偵。実はこの世界の人神)は重たい袋の中身を機械の中にザラザラとぶちまけ、珍しく不満そうにそう零した。
「あの人の頭ん中なんざ、理解出来るヤツが居れば是非お目に掛かりたいよ。オレは」
同じく、日向玄之丈(自称:探偵事務所所長。犬神でもある)もこれまた不満そうに身を屈めて機械の下へ、よいしょと潜り込んだ。勿論帽子着用の、いつも通りのスーツ姿である。
「なんでこんな場所に電源と設定ダイヤルがあるんだ・・・」
ブツブツ独り呟く玄之丈の上で、鍋底にザラメがバラバラと当たる音が弾けた。思わず耳を塞ぐ。
狼の姿であったなら、間違いなく耳を伏せていたであろう。
「まぁ今月、家賃滞納しちゃったしなー。しょーがないんだけど、手伝いの間、携帯電源オフってどーなんよ?」
事務所の電話は不在時、玄之丈と光太郎の両者の携帯へ自動転送される。光太郎は助けを求める人を0.1秒も放っておけない気質だ。
光太郎は、探偵事務所に依頼の電話が掛かってきた時の事を心配しているのだった。
「『今日は何も起きない。そう、私が決めた』との言葉を信用するしかない、だろ?」
機械の下から顔を少し覗かせ、玄之丈は肩を竦めてみせた。コミカルなその動きに、光太郎の表情が少し和らぐ。
「そーだよな!おっさ・・・じゃなくて、所長の言う通りだ」
「オレ達は今出来る事を、全力でやるだけって事さ」
その全力でやる仕事が綿菓子の屋台組み立てというのはどうかと思うのだが、その点については二人とも気に掛けない事にした。

「あら、意外に早かったわね」
ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン(他称:H&K探偵事務所の大家兼魔女)は広大な自宅の庭にセッティングされた綿菓子の屋台を眺め、 言葉と裏腹な抑揚の無さで興味なさそうに言い放った。
「もー機械回せるぜ、ふみこたん」
「・・・これは大家さん、お気に召して頂けたようで」
大仰に出迎える二人を一瞥してから、ふみこは後ろを振り返った。
「小夜、今日は忙しくなるわ。二人をサポートなさい」
巫女姿にフリフリエプロンを着けた結城小夜(他称:神殺し用の元最終兵器。現在ふみこ邸にて絶賛メイド中)は、ふみこと屋台を見比べながら 合点がいかない風に目をぱちくりさせた。
「お店・・・ですか?」
「そう、今夜はハロウィンだからお客は亡霊よ。貴女が居れば客は絶えない」
「え?」
「分からないままでいいわ。二人の足を引っ張らないように」
「はい!」
敬礼するような勢いでふみこに返事すると、小夜は足取りも軽く屋台の方へ向かった。光太郎に会うのは久し振りだったから。
が、その後ろをふみこが付いて来るのに気付き、ぎょっと振り返る。魔女はエレガントに、巫女へと笑いかけた。
「私がアレに術をかけないと、全ては始まらないのよ?」
「はい・・・」
ふみこの目の届かない処で、光太郎と会える
・・・なんて思った自分は浅はかだったと、小夜はしょんぼり肩を落とした。
「お、小夜たんも手伝い?今日はよろしくな!」
「は、はい!光太郎さん」
が、光太郎に話しかけられて一気に気持ちが明るくなったようだ。その様子にふみこは一人、誰にも知られぬよう微笑んだ。
「で、大家さん。こんな処に屋台なんぞ建てて、どーするつもりなんだ?」
玄之丈が皮肉っぽく尋ねてきたが、その問いに対してふみこは質問者の方を見ずに、空を見上げ答えた。
雲一つ無い、秋晴れの空を。
「『浄化』。・・・この哀れな、愛しい『日の国』の諸々を、ね」
そして3人の方を真剣な面持ちで見遣ると、厳かに宣言した。
「私が術を完成するまで、全ての言動を禁ずる」
目を閉じ、印を組んだふみこの周り半径数mが、空気を震わせながら淡く光りだした。

* **
「おっさん、後3本!早くっ!!」
「ちょ、先にザラメ入れないとダメだろーが」
「も、申し訳ありません、もう少々、お待ち下さい・・・。え?私、ですか???」
「さよたんは、売り物じゃない、ですからーーーっ!!」
「光太郎、落ち着け。客が逃げ出す」
まだ日の光は夜から目覚めた朝の色をしていた。
が、ふみこの術が完成した直後、その屋台は綿菓子を買い求める霊で大賑わいとなった。
霊が夜限定なんてデマは、誰が流したのだろう?なんて思ってしまう程に、
何故、この霊達は綿菓子を買い求めに来るのだろうという疑問さえ起きない程に、
そして今、自分達がどの様な次元空間にいるのか把握出来ない程に、
3人は激しく忙殺された。
そんな喧騒の後ろで、肘置き付きの重厚なビロード張りの椅子に深く腰掛け、ふみこは優雅に朝の紅茶の香りを楽しんでいた。

「どーなってんの?ふみこたん!なんなんだよ、コレ!まともな客、いねーじゃん!?」
第一陣の嵐が去り一段落着いたところで、光太郎はふみこに詰め寄った。椅子に腰掛けたまま、その顎を人差し指でふみこはそっと掬い上げた。
「いい男は、簡単に大声を出さないものよ?」
典雅に、そして妖艶に微笑まれ、光太郎は顔を真っ赤にして、ぐっと言葉を飲み込んだ。その様子に卒倒しそうになる小夜と、それを見て慌てて小夜の背後に回る玄之丈。
「・・・完結に言うと、霊の怨念を昇華している。綿菓子は釣り餌だ」
「何故、綿菓子なんぞが釣り餌になるんだ?子供じゃないと喜ばんだろう」
玄之丈が不思議そうに呟いた。
一見、至極もっともな疑問に思えるが、数世紀を生きてきた魔女の前では愚問でしかない。つまらなそうにふみこは答えた。
「釣り餌といえば、仕掛けを施すのが当たり前ではなくて?」
要は魔女の呪術入りって訳だ。
「怨念を纏う霊は、無視される事を最も嫌う。だからその注意を引くためのアイテムが綿菓子なのよ」
「でもどうして綿菓子なんですか?飴とかくっきーとかでも、良いのでは?」
これまた至極もっともな質問が小夜の口から放たれた。そーだよなぁ、と頷く男二人。
「私の趣味だ」
意外な返答に、それぞれのポーズでずっこける3人。
各地で行われている神社の秋祭りに紛れられるから、というのが一番の理由なのだが、下手に説明すると色々面倒そうだと、一番簡単な返答をしたふみこだった。
「で、綿菓子買う事で、どーして怨念が昇華されるん?」
気になると納得するまでとことん追求するのは、『青年探偵』を自覚してから芽生えた光太郎の性癖である。
ふみこは、ほんの少し前の光太郎のバカっぽさが何故か懐かしくなり、そんな自分に軽い溜息を吐いた。
「『望むものを手に入れた=念願が成就した』と、錯覚させる事が昇華になっている訳」
「じゃー、騙してんの!?」
あんぐりと口を開けた光太郎へ、ふみこは聖母のようににっこりと微笑んでみせた。
「人聞きが悪いわね。『忘れさせてあげてる』と言って頂戴。・・・客がまた来だしたわよ?」
ふみこの指摘に、3人は揃って屋台の方を向いた。そしてその状況に、それぞれのポーズで悶絶した。


***** **
「・・・つ、疲れ た」
「腰が・・・・・・ぅっ!」
「私も、少々疲れました」
戦い終わって日が暮れて。漸く材料が切れたのだ。
本数にすると延べ何本作ったのだろうか?一日の綿菓子販売本数世界一であることは間違いない。ギネスに載せられないのが残念である。
満身創痍の3人を尻目に、ふみこは【完売しました】の霊避け札を屋台の前に立てた。何かを彷彿とさせる札である。
そして
『全ての言動を禁ずる』
の台詞は不要と判断したので、無言のまま朝と同じように印を結んだ。

「ミュンヒに片させるから、屋台はそのままでいいわ。ご苦労様、売り上げは持ってお行きなさい」
ふみこ邸の庭にいつの間にか戻っている事に気付き、3人は疲労でボーっと彷徨わせていた目を真ん丸くさせた。
いつの間にか戻った事よりも、ふみこの台詞にサングラスの奥の目をもっと真ん丸くさせたのは玄之丈である。探偵事務所は超良心的経営の為、何時も赤字御礼であった。
「亡霊から貰った金?・・・使えるのか?」
「確かめればいいでしょう?私の結界の中で起こった事は全て、私の意に準じている」
魔女様、万歳・・・!!
と、素直に思った探偵事務所所長であった。現生って、素晴らしい!
「なぁ、ふみこたん。ふみこたんが昼間直接、綿菓子渡したヤツって生霊だろ?」
当面の生活費を手に入れ浮かれる所長の姿をやや呆れ顔で見遣りながら、光太郎はふみこに問いかけた。
「あら、妬いてくれてるの?嬉しいわ」
自分の肩に手を置き、しな垂れかかるふみこを慌てて押しやる光太郎。
「ち、ちがっ!!・・・なんでアイツが紛れ込んで来たかが、分かんなかったから。なんつか、他の生霊と違く見えて」
「・・・そうね」
真面目な顔で見返しながら、ふみこは真剣な光太郎の表情に自分の心が躍るのを感じた。
自分の行動等、意に掛けてないと思ってたからなのだが。そしてそう感じた自分も大概だなと心の中で苦笑する。
「無心で、でも本当に望んでいたから。本当に他愛も無い事を、ね」
だから叶えたくなった。本当に柄にも無く。
ふみこの言葉に、光太郎は勢い良く頷いた。
「金払って無かったからさー、なんかヘンな、昇華の反対?みたいな事がソイツに起こらねーかって、心配した」
光太郎はいい奴だよ!
しかし、ふみこは光太郎の言葉に対して、少し複雑な表情をした。流石に光太郎は勘が良い。
「・・・世界は平衡を保って形造られている。残念ながらアレも勿論、無償ではないわ」
「?どゆこと?」
ふみこの言葉の意が汲めない光太郎は訝しげな表情をし、ふみこは大きく肩を竦めた。とてもじゃないけど、光太郎には見せられない。
「小夜、ちょっと」
「はい?」
屋台周りのゴミをせっせと片していた小夜はその手を止め、ふみこの元へと小走りで駆け寄った。
「何でしょう?」
「黙って」
ふみこは自分の手を、そっと小夜の額に当てた。・・・見る見る内に小夜の顔がトマト以上に赤くなり、
そして、小夜は鼻血を吹いて昏倒した。
「さ、さよたーーーん!?」
「・・・知らないままの方が幸せ、という事もあるのよ?」
慌てて小夜に駆け寄る光太郎へ、ふみこは優しく諭すように言った。


【To be continued?】

11/03/07
***** **
はーい、ここまで付き合ってくれてアリガトウゴザイマース★
サービスカットを見て、心を慰めてクダサーイ★セカーイニンジャ!

註:右から泉・浜田・三橋


・・・勝手して、スミマセンでした!!(土下座)


→田島レベル

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